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「成功報酬型」薬について考える

ニュースから考える

効果の低い薬や治療が淘汰される時代は来るのか?

先日の日本経済新聞に、
『 医薬品世界2位のノバルティス(スイス)が
 薬が効いた患者にのみ支払いを求める「成功報酬型」薬を
 日本で販売できるよう政府に働きかける― 』
との記事が掲載されました。

そこで本日は、薬価をめぐる制度のあり方を問い直す
きっかけににもなるかもしれない、
「成功報酬型」薬についてお話をいたします。

記事によると、対象となる薬、そして今後の流れは以下の通りです。

 (対象となる薬)
 ・「キムリア」という小児・若年者の急性リンパ性白血病の新薬。

 ・1回の治療で済み、8割の患者で効果を示した。
 ・米国では8月に承認済み。
  47万5千ドル(約5,300万円)で一部患者向けに成功報酬制度が導入されている。
 ・治療1ヵ月後に腫瘍が検出されない場合に、効果があったと見なして薬価の支払いを求める。

 (日本での申請の流れなど)
 ※効果判定や支払い方法の具体的な議論は今後。
 18年01月~06月: ノバルティスが「キムリア」を保険対象薬として厚労省に申請予定
 18年08月~19年03月頃: 承認 ※希少疾病の薬の場合、
                   申請後7~9カ月で承認が下りることが多いとされる
 18年10月~19年05月頃: 薬価決定 ※承認後2ヶ月で薬価が決まる 
 → 発売

米国では8月に承認された薬が、来年早々には日本でも申請される方向です。
厚生労働省も「相談があれば門前払いはせず、まず省内で検討する」(幹部)と発言をしています。

医療技術の向上やセカンドオピニオンで、患者側が情報を得やすくなったことにより、
医療を受ける側(患者)が、自ら選択をする機会は確実に増えました。
更に「成功報酬型」薬が導入されることで、もっと積極的に、
患者が自ら薬を選び、治療を決め(決めざるを得ない)、
その中で、効果の低い薬や治療は淘汰される、そんな時代が来るのかもしれません。

一方で、高額な薬の保険負担額を気にする声ももちろん大きく、
例えば、成功報酬の成果をどう設定するのかなど、
記事には「1ヶ月後に腫瘍が検出されなければ」とありますが、
この点も非常に気になるところです。
この判定にかかるコストも、薬の価格を左右しそうです。


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