「診療圏調査」はどこまで信用できるか?
具体的な開業場所を検討される際、
必ずといっていいほど取得される「診療圏調査」。
ご自身が描く医院経営を行うために参考にするデータの1つです。
ただ、どこまで信用できるデータなのか、と
不思議に感じることもありますよね。
では、そもそも「診療圏調査」とは何でしょうか。
「診療圏調査」は、開業予定地の診療圏における人口動態や人口分布などを基に、
見込み患者数を算出します。
診療圏の範囲は、診療科目によっても異なりますが、
都市部であれば半径500mや1km以内、
車が必要な地方であれば半径3㎞程度まで設定するケースが多いようです。
(内科など、競合が多い診療科目は「半径500m」など、範囲をより絞られることが多いです。)
一方で、診療圏調査での見込患者数には、
ライバルクリニックの口コミなどは反映されないため、
調査結果は開業する際に、最低限「充分な外来数などを見込むことが出来るのか」をみる、
判断材料の一つとする方が良いのかもしれません。
* * * *
また、診療圏調査では様々な数字があがってきますが、
実際にご自身の目で現地を見られた上での判断を求められる場面に
出くわすこともあります。
例えば、開業候補地の道路をはさんだ反対側に、広大な空き地があった場合。
その空地の開発の方向性や状況によっては、
患者数の伸び方や流れなど変わる可能性もあります。
調査の数字には出てこない部分ですが、再開発地域での開業希望であれば、
開業予定地の都市計画なども調べ、見通しを立てておく必要があります。
また、「夜間人口」と「昼間人口」の違いもおさえなければなりません。
住民基本台帳にある人口=「夜間人口」です。
都市部では職場近くで受診する方も多いでしょうし、
一方で、仕事が終わって帰宅する時間帯まで人が少ないという地域もあります。
訪問診療など、高齢者の方を集患のターゲットとして
見るのであれば問題ないかもしれませんが、そうでない場合は注意が必要です。
当然ですが、最終的にはご自身で現地に赴き、その目で見ることが一番です。
また、その際は「平日と休日」や「昼間と夜間」などのように、
条件を変えて、同じ場所を歩いてみることをお勧めします。
診療圏調査の数字だけでは気づかない発見があるかもしれません。