転職先が決まった!あとは退職の申し出だけ。
賞与支給と重なるこの時期は、ご転職の相談も増えてきます。
ご相談の内容は人それぞれですが、
その中でも「退職交渉」に関するご相談を承ることが多くあります。
当然、コンサルタントとしては、現職を出来る限り円満退職し、
次の職場に気持ちよくご入社いただきたいと思っているのですが、
実際には円満退職ができる方のほうが少なく、
どうしても現職からの強い引き留めにあう方のほうが多い印象です。
「転職代行サービス」を手がける企業も注目を浴びる昨今、
今回は、実際にあった事例をもとに、
「退職」への考えについて、みていきましょう。
【 30代前半のAさんのケース 】
■転職活動の概要
薬剤師Aさんは、とても物腰が柔らかく印象の良い女性です。
現職からの評価も高く、仕事もできます。
しかし、現職は残業が非常に多く、
何度も改善を求めていましたが、なかなか残業はなくならず、
転職活動に至ったという経緯です。
■転職活動結果
計3社の面談に行き、すべて内定をいただきました。
結果として、今より給与が下がりますが
残業の少ない「B薬局」への入職を決めました。
3か月後の入職として契約をしましたが、現職への退職意向はまだ伝えていません。
■現職の退職について
無事に内定をいただいたので、
Aさんは早速退職の申し出をされました。
就業規則には「2カ月前までの申し出が必要」となっていましたが、
規則内での申し出のため、Aさん自身も問題ないだろうと思っていました。
しかし、上司からは以下のように言われてしまいました
「そんなに急に辞めるなんて言われても困る。
ただでさえ人がいなくて困っている時期なのに。
Aさんがいないとこの薬局は運営できないよ。この時期の退職は迷惑なんだよね・・・
せめて半年後の退職じゃないと困る。」
このようなことはよくあるケースです。
仕事ができるAさんだからこそ、現職からの強い引き留めにあったのですね。
そして、Aさんからはこのような相談がありました。
「どうしても現職が辞められません・・・
お世話になった会社なので強く言えなくって。
迷惑をかけたくないので、入社を半年後にできませんか?」
―確かに、今までお世話になった会社です。
迷惑をかけたくないお気持ちはとても大切にしていただきたいです。
そして、今のAさんのお気持ちはとても複雑。
冷静になって考えるために、
以下のことを考えてみましょう、とアドバイスしました。
「迷惑」について考えてみる
この場合、Aさんは現職に対して「迷惑」がかかると気を揉んでいます。
確かに、辞めてしまうと迷惑がかかることも事実です。
しかし、内定先の「B薬局」への迷惑はいかがでしょうか?
B薬局は3カ月後に、Aさんを迎える準備を着々と進めています。
そして、B薬局は2か月後に1名の退職者がでる予定なので
3カ月後にAさんが入職していただけないと、非常に困ってしまう状況です。
この場合、残念ながらどちらにも「迷惑」がかかってしまいますよね。
現職だけではなく、B薬局様のご都合も考えられてみるといいかもしれません。
正しい退職手続きを行っている
Aさんは就業規則を守って、3カ月前の退職の申し出をしています。
間違った手続きをしていないことを再度確認してみましょう。
転職で叶えたいことは?
そもそも転職のきっかけは「過度な残業」です。
改善を求めましたが、連日21時までの勤務・・・
Aさんの体力は限界を迎えていました。
果たしてあと半年間、その状況で耐えられるのでしょうか?
今回の転職で何を叶えたかったのか思い出してみましょう。
以上を踏まえ相談を重ねた結果、
無事、Aさんは3か月後に現職を辞められることになりました。
退職はとてもナイーブな問題ですし、
限られた人数で運営している企業にとっては人が辞めることは、死活問題です。
決して、無理なご退職を推奨しているわけではございませんが、
私たちキャリアコンサルタントは、
転職で叶えたいことを全力で応援したいと思っています。
「始め方」同様に「終わらせ方」も非常に大切です。
退職に関して悩まれた際にも、ぜひご相談をいただければと思います。