遠隔服薬指導の概要について
7月18日の中医協総会において、愛知県、福岡市、兵庫県養父市の3つの地区で
遠隔診療による暫定的な薬剤服用歴管理指導料の算定が認められました。
つまり、テレビ電話などで服薬指導をしても
薬剤服用歴管理指導料をとることができるということ。
ただし、上記地区の誰もが遠隔服薬指導を受けられるのではなく、
以下の要件が必要となっています。
1、離島、へき地に居住する者に対して行われていること
2、遠隔診療が行われていること
3、対面での服薬指導ができない場合に限ること
この条件が揃った際に、
テレビ電話による服薬指導(遠隔服薬指導)が認められます。
また、遠隔服薬指導はあくまでも対面服薬指導を補う手段としているため、
以下のような対策が講じられています。
1、患者の手元に薬剤が届いた後にも、改めて必要な確認を行うこと
※つまり、薬の発送時・発送後の2回連絡が必要
2、対面診療の原則の下で、継続して診療を受けている患者が対象になり、
このような患者に対面で薬剤服用歴の聴取や服薬指導を行った薬局が
引き続き遠隔服薬指導を行うこと
※つまり、対面で服薬指導を行ったことがある薬局が遠隔服薬指導も行うということ
3、おくすり手帳を活用すること
4、厚労省の指針をもとに、情報セキュリティ対策をとること
まだまだ始まったばかりの手段ですので
色々と検証が必要になってくるでしょう。
また、このなかで注目をしたいのが
「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」などは
遠隔指導では算定されないということです。
つまり、遠隔指導を行うと、
在宅訪問での算定が出来なくなるため、外来患者と同じ評価になります。
経営者視点で考えると、
患者一人(処方箋一枚)あたりの収益は下がってしまうことになります。
しかしながら考えたいのが、「在宅訪問にかかる薬剤師の移動時間」です。
医療をうけることが困難な へき地への訪問ですから、
薬局から30分以上の移動時間がかかることもあるでしょう。
薬剤師への負担も減ることで、医療が必要なより多くの患者さまへ、
薬の提供と服薬指導を行うことができるのではないでしょうか。
もちろん、患者さまにとっても遠隔指導は、
・自宅から遠方の医療機関へ足を運ぶ必要がない
・テレビ電話で対応するので、家族と一緒に服薬指導をうけることができる
といった大きなメリットがあります。
始まったばかりの制度ですが、対面指導と遠隔指導を組み合わせることで、
より良い医療の提供につながるのではないでしょうか。
もしかすると、今後みなさまがお勤めの薬局でも
「遠隔服薬指導」に取り組まれるかもしれませんね。