残業は「あり」か「なし」か?
違法残業事件で有罪が確定した電通が、
事実上の未払い残業代として合計約23億円を社員に支給することが
ニュースになっています。
一般的に、残業=悪のイメージは少なからずあると思います。
企業に勤めている以上、なかなか避けて通れないのが「残業」ですが、
一方で、正確にルールを理解している方も意外に少ないのではないでしょうか。
よく質問をいただく事例を中心に、
残業の簡単なルールと考え方についてまとめてみます。
◆残業の定義とは
会社が就業規則に定めた所定労働時間を過ぎて労働を行った場合、
その超過分が「残業」となります。
では「残業代」はどこから支払義務が発生するのでしょうか?
それは「法定労働時間」を超えて労働した場合です。
ここまではご存じの方も多いと思いますが
1日8時間、1週間40時間と、労働基準法で定められています。
1日の労働時間が7時間の会社で8時間労働した場合に
残業になるかどうかは、その会社の就業規則次第ですが、
法定労働時間を越えた場合には残業代の支払に義務が生じます。
◆残業に含まれるもの、含まれないもの
始業前の掃除時間や朝礼のために30分前に出社などは、
強制であれば時間外労働に含まれるとされています。
また、業務前後の制服への着替えや準備業務後の片づけなども
業務に必要なことなので含まれると解釈されているようです。
逆に時間外労働に含まれないのは、
出張時の移動時間や会社に強制されていない業務などになります。
◆「みなし残業」について
雇用条件の中に既に残業代が盛り込まれているのが「みなし残業制度」です。
これは、例えば月に20時間であれば、
実際の残業が15時間程度であっても既定の残業代が支払われる制度です。
では、20時間以上の残業になった場合は労働者が損をするのかというと、
そうではありません。
盛り込まれているみなし残業時間をこえた場合も、
通常と同じように残業を支払う義務が生じるとされています。
ちなみに「年俸制」の場合も同じ考え方です。
ただ、企業によっては、上記のような残業の知識を持っていない、
あるいは守られていない会社もまだまだ多いようです。
では、残業=悪であり、「なにがなんでも定時で帰る」で
何事もうまくいかというと、なかなかそうはいかない仕事もあるように思います。
医師をはじめとした医療業界などは特にそのように感じます。
無駄な時間外労働は労働者を疲弊させ、
最終的には雇用者の首をしめることになります。
重要なのは残業について正しく理解をし、
雇用者も労働者も損をしない体制作りではないでしょうか。