世代別「私の話を聞いてください!」
今回は、私が転職をお手伝いする中でお聞きした、
先生方の生の声を世代別にまとめてみました。
■20代医師(研修医世代)
「年配の先生達は、役職や上下関係に固執しており、嫌な気持ちになる。
あんな面倒な世界に生きるくらいなら、自分は偉くなりたくない。
患者や家族にとって、良い医師になりたい。」
「昔は大学医局に所属することが当たり前だったようだが、
今は診療科や地域によっては、医局に属さなくても研修ができるし
専門医も取れるので、医局には属さず自分の人生は自分で決めたい。」
「研修医なのに『そんなことも聞くのか?』と言われたことがある。
指導医が十分教えてくれない環境に不満・不安を感じる。」
「ベテラン医師の治療方針に違和感を感じることが多い。
患者や家族にとって幸せでない治療を続けるくらいなら、
もう患者を楽にしてあげたほうが良いのではないか・・・と感じることがある。」
「若手だからと、遅くまで残ることを求められたり
先輩医師より早く出勤することを、暗黙の了解で強要されている。
用もないのに、休日も勤務先に行かないといけない雰囲気があり、
無駄な時間を過ごしているという感覚がある。」
■30代~40代医師
「自分が研修医時代は、かなりハードな勤務をしていたが、
下積み時代はそれが当たり前だったし、教えてもらうのを待つなんてこともなかった。
こっそり盗み見しながら、自分のものにする、という感覚だったかな。
こんなにがっつく医師は、今の若手にはいないように感じる。
後輩指導では、手取り足取り教育をしなければならず、時間をかなり取られているし、
パワハラと受け取られないようかなり気を遣う毎日・・・」
「今の若手は、ベテラン医師のような体育会系のノリではないことを感じる。
可愛がられれば、聞かずとも色々教えてもらえて得なのに、上手に人付き合いもできない。
自分は40歳になった今でも、最終的に自分が得するように、先輩より遅くまで残ってみたり、
飲み会も積極的に参加して、コミュニケーションを心掛けている。
そのお陰で、症例を回してもらえたり、いろいろ教えてくれる上司がいる。」
「自分は外科だからか、自分達の世代では無かった”ワークライフバランス”を大切にしたいと
考える若手に『最近の若者だなぁ』と感じることが多い。
しかし、人間らしい生活すら出来ないハードな勤務を経験したので、
少し悔しい気持ちはあるものの、今の若手の感覚は普通だと思う。」
「生活のQOLを大切にしたい考えだけで専門を選択する若手がいて驚く。
自分の医師としての目標、やりたいことはないのかと疑問を抱く。
この流れは、医師としてのキャリアや、診療科間の差を生むため不安を感じる。」
「流れで、大学医局に属したが、自分は研究より臨床派だし、
大学に属する必要はないと思う、フリーの若手医師が羨ましい。」
「中堅層の自分は、昭和時代を過ごしてきたベテラン層から『甘い』と言われる。
そのため多少は無理をしているが、辛く感じる。
いい加減、時代についてきてほしい。」
■50代医師
「最近の若手医師は、あまりにもプライベートを優先しすぎる。
若いうちは、自分の生活を顧みずに、がむしゃらに働いてきた自分だから、
受け持ち患者を当直医に任せて、定時でさっさと帰る若手を理解できない。
目の前にスキルアップのチャンスがあるのに、勤務時間を優先・・・
今の時代は、若手の成長を阻害していると感じる。」
「大学に属していない医師が増え、上下関係が希薄になった・・・
体育会系の関係を嫌がる若手も多いようだが、
少し自分が努力すれば、先輩に可愛がってもらえて、やりやすくなるのに。」
「自分の権利ばかりを主張する若手にうんざり。」
「自分達の世代の医師には、待遇ばかりを主張する医師もいるが、
若手医師は、意外と経営の事を考えている者も多く、感心する。」
「メモを取るのは良いが、ノートではなくスマホにメモを残していた研修医がいた。
教えてもらう立場と理解しているのかと疑問になる。」
「きつくいえばパワハラと言われる時代に、
若い医師達を指導することに、かなりのストレスを感じる。
もう指導医はやめたい。」
※ ※ ※
いかがでしょうか?
どの世代の先生のお話も、きっとご自身の生きてきた時代の
常識に当てはめた上で感じていることなのだと理解ができます。
年齢が上がるほど若手に厳しい意見が多いですが、
特にワークライフバランスの面などは、
医療業界に限らず、一般企業でも同じような状況のように感じます。
かく言う私も中堅層で、新卒時代に勤めていた会社は月の休日は2日程度、
家に帰るのは毎日23時過ぎ・・・という生活でした。
もちろんもうあの頃の不健全な毎日に戻りたくはありません。
時代とともに、価値観も急速に変わっていく昨今、
いかに、お互いがお互いを理解し、関わり、歩み寄り、共存できるのか・・・
日本全体で、まだまだしばらく続く、課題なのかもしれません。